今回のテーマは、切手と凹版印刷です。
その中でも印刷の最初の工程である版作り(彫刻、彫金、エングレービング)の分野について、ご紹介します。
(左の写真は、世界最初の切手。イギリス・1840年。出典: フリー百科事典『ウィキペディア』)
現在、世界中の国・地域で日々、新しい切手が発行されています。年間にして、その数、約1万種類超とも言われています。
切手も紙幣同様、偽造されると、その国・地域が大きな損害を受けます。
従って、偽造防止の面から、切手の製造にも高度な印刷技術(凹版印刷)が利用されてきました。
1840年にイギリスで誕生した世界初の切手も、凹版印刷技術を用いて作られました。
切手自体が小さい面積の印刷物であることもあり、その版を作る(彫刻する)職人の熟練技術が、当時から必要とされました。
その熟練技術を守り、継承するため、現在も凹版切手を数多く発行し続けているスウェーデンでは、伝統的に凹版の彫刻ができる職人を優遇し、切手にデザイナーと彫刻技術者の名前を刻印してきました。そのスウェーデンに、チェスラフ・スラニア(Czeslaw Slania)という著名な凹版彫刻家が存在していました。(2005年没)
スラニアは、スウェーデンの国王の顔を彫れる王室彫刻家であると同時に、スウェーデン以外の国・地域でも、多くの切手(世界各国の切手の1000種以上)を手掛け、世界の切手収集家を魅了したとのこと。それらスラニアの切手は、凹版印刷の特徴である細い線画が多く表現され、熟練技術、英知が結集された傑作といわれています。
その後も、切手の長い歴史のなかで、凹版印刷による美しい切手が数多く登場し、切手は「印刷物の芸術品」と認識されるに至ったのです。
こんな歴史観のある印刷物、なかなか無いですよね。
今後も、凹版技術周辺のお話を、広く深く探索していければと思います。
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