苦難を残り越えAWS化した京王バス虻川氏の交渉術

同じシステム開発に携わる人間として、
非常に共感する部分があったので
ここでご紹介したいと思います。

「なぜクラウドなんだ」「今までのやり方を変えないで」――反発乗り越えAWSなど導入　京王バスを変えた男の交渉術

2025年の崖まであと数年

お客様の中には、業務のシステムのクラウド化に対して腰が重い企業もあります。

業務効率が悪くとも、長い年月続けてきたやり方を変えられず、
問題を先送りにしている方も多いのではないでしょうか。

近年、「2025年の崖」と呼ばれ
「企業ITインフラ各種の老朽化」
「サポート終了」
「保守を担当する技術者の退職時期」
による経済損失は、年最大12兆円とも言われています。

2011年から始まった京王電鉄バスIT化の苦難の道

京王電鉄の虻川勝彦氏は、出向していた京王電鉄バスで、
2011年からシステム刷新プロジェクトの責任者として
クラウド導入を推進し始めました。

そしてこれが、それから約8年に及ぶ、
虻川氏の苦難の幕開けでもありました。

Excelで作られた難解な業務ファイル

過去、弊社のお客様でもいらっしゃったのですが、
業務で使用する数値計算にExcelを使用され、
計算結果を手打ちで基幹システムに入力されていました。

京王電鉄バスでも、複雑な関数やマクロで組まれたExcelで運用しており、
Excelを作った人間の転職により誰も変更出来ず、
基幹システムに手で打ち直すという運用をずっと続けていたそうです。

この時点でかなり業務効率が悪い事が、
誰にでも分かると思います。

クラウド化に対する猛反発

虻川氏のクラウド化提案に対して、
関係者と経営層から猛反対を受けたそうです。

関係者が反対する一番の理由は、クラウド化後の障害発生への不安。
経営層が反対する一番の理由は、クラウド化によるメリットが理解できない。

現場の人からは、
「なぜクラウドなんだ」
「今までのやり方を変えないで」
といった声もあがっていたそうです。

弊社は受託システム会社なので、
まず前提として、お客様自身が業務効率化の為に
システム化を望まれています。

虻川氏のように、クラウド化自体に賛同しない現場の説得は、
かなり大変だったのでは無いでしょうか。

虻川氏の行った交渉術の２つのポイント

虻川氏本人の記事のコメントで、

「特に経営層は他の業務で忙しいので、
メリットがあると考えていないサービスの話をいくらしても、頭には残りません。
そこで、できるだけ経営指標に絡めて（クラウド導入による業績への影響などを）説明するなど、
興味を持ってもらう工夫をしました」

「できるだけ話を前に進めるために『前回了承してもらった話＋新しい話』というように、
重要なことは繰り返し話すことも大切でした。
専門用語を多用して丸め込もうとせず、簡易な言葉を使うことも心掛けました」

と話をされていました。

■ポイント１：まずは興味を持ってもらう

システム開発に携わる人間だと、
つい、システム化のメリットだけを伝えてしまいがちですが、
まずは虻川氏のように、【興味を持ってもらう】事が重要なのではないでしょうか。

■ポイント２：専門用語を多用しない

そして同じように陥りがちな
【専門用語を多用して丸め込もうとせず、簡易な言葉を使うことも心掛けました】
という事も、非常に重要だと思いました。

１つの言葉で済む単語を、噛み砕いて説明するのは、
その何倍もの時間がかかります。

頭でわかっていても、専門用語を多用しないというのは、
システムに携わる人間にとってなり大変な作業だったと思います。

ビジネスに必ずしも直結しない部分でサービスの土台作り

虻川氏の段階的なシステム化の流れの中で、個人的に重要だと感じたのは、
社内向けeラーニング、認証システムのバックアップ、プロジェクト管理という
ビジネスに必ずしも直結しない部分でサービスの土台作りです。

システムを作る事だけでなく、システムを使う側の教育環境の準備も、
非常に重要なタスクなのだと感じました。

京王グループでは現在、AWSを中心に「Microsoft Azure」
「Google Cloud Platform」などを利用し、
クラウド化を加速させているそうです。

Amazon公式動画「京王電鉄様における AWS 活用事例」

2025年に向けて

京王電鉄バスと同じ様に、今後、Excelと手入力等、
レガシーな運用業務をされている企業は、
どんどんシステム化を余儀なくされてきます。

もし、この記事を読んで、業務をクラウド化されたい方が居れば、
是非、弊社にご相談下さい。